中村(敦志)研究室
       
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2009年度ゼミ論

       銃社会アメリカとは


                             上田 弘文
 

 アメリカには、日本には全く馴染みのない銃社会だ。ニュースや映画を通しアメリカを見ると、銃犯罪や銃撃戦といった場面を見かけることがあり、私にとって銃は犯罪でしかないと思っていたのだが、実際の銃社会とはどのようなものなのだろうか。

 まず初めに銃社会とはどのようなものだろうか。アメリカではアメリカ合衆国憲法修正条項第2条の「武器を所持して携帯する権利」によって銃の所持が認められている。またアメリカでは銃のディーラーも数多く点在し、「1994年だけでも248,000件もの銃のディーラー」があるのだ。しかも、街の闇のディーラーでは手続き不要で、現金さえあれば購入可能なのである。
 
 このようにアメリカでは法律で銃の所持が認められ、銃を容易に入手できる環境があり、銃がアメリカ社会に溶け込んでいるのである。

 次に、アメリカ人が銃を所持する理由とはどのようなものだろうか。アメリカでは自分の身は自分で守るという「自己防衛という伝統的な考え」が生まれ、銃を護身用に持つ人が多い。また近年では多くの女性が所帯主となり、仕事では重要なポストにつく場面も増えている。遅い時間まで働き、通勤時間も遅くなっているため、護身用に銃を買う女性が増えているのである。

 さらにアメリカにはNRA(全米ライフル協会)という銃を所持することを支持する市民団体や、GOA(米国銃所持者協会)というアメリカ合衆国憲法修正項第2条を絶対的なものだと主張する市民団体が存在する。NRAには著名な政治家や有名人なども多く入会しているため、彼らの影響によってさらに銃所持の支持が増えているのだ。

 このような自分の身を守るのは自分であるという、自己防衛の考えを持つアメリカ人の国民性、銃所持を支持する団体の存在と影響が、銃を持つ理由の背景にある。

 次に、銃社会はどのような問題を抱えているのだろうか。第一の問題はやはり銃による犯罪の件数が非常に多いということだろう。「アメリカでは、1986年以降、年間2万件以上の殺人事件が発生しており、ピークは1993年の2万4526件でそれ以降は減少傾向にあり2003年には1万6503件まで減少したが、銃による殺人はその67パーセント近くにのぼっている」のだ。

 また、銃を買うことはとても簡単だ。購入の際に、過去に犯罪で精神異常と診断された経歴がないかなどの簡単な質問を聞かれ、特に問題なければ購入可能と、甘い規制となっている。その他にもニュースや新聞などのメディアが過剰なまでに犯罪特集を取り上げるので、無意識のうちに恐怖心が植えつけられ銃の売り上げが年々増加していったという事実もあるのだ。

 上記でも分かるように銃社会には様々な問題点があるが、果たしてこのままの現状で良いのだろうか。実際にアメリカでは1980年代の後半から銃規制運動の意識が高まりはじめ、1993年には「ブレディ法」という銃規制の法律も制定された。しかし「銃が自由の象徴であり、銃規制は自由の侵害である」という考えがアメリカ国民に根強く、銃規制が非常に難しいのが現状である。

 以上が私の調べたアメリカの銃社会の現状である。銃社会とは単なる犯罪の文化ではなく、アメリカ人の国民性でもある、自己防衛という考えに基づいて生まれた文化であるということが分かった。アメリカはもっと効果的な銃規制を早急に考えるべきだが、一向に銃を規制することに対しての解決が見えてこないのが現状でもあるのだ。
 
             


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