中村(敦志)研究室
       
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2009年度ゼミ論

     アメリカの醤油文化
 
                            濱 紗都美


 醤油は、日本の食文化に欠かすことの出来ない重要な調味料だ。では、アメリカ人にとっての醤油とは何なのか。醤油がアメリカの食文化にどのような影響を与えたのか調べた。
 
 まず醤油の発祥だが、発祥は中国だと考えられている。日明貿易により日本に到来した。鎖国時代にオランダと中国との貿易が盛んになり、醤油はアメリカよりも先にヨーロッパに広まった。英語の “ soy sauce”の語源はオランダ語の “soya”(ソヤ)からきている。
 
 醤油が初めてアメリカに渡った日はわかっていない。記録として残っている物で一番古いものは、明治時代(明治元年)だ。この時の輸出の目的は、アメリカの日本人移住者向けに販売するためだった。時代とともに渡米する日本人は増加し、また来日するアメリカ人も増加した。沢山のアメリカ人が来日し、彼らはアメリカ料理に醤油をかけることを覚えた。ステーキやハンバーガーなどがそうだ。 そこにキッコーマン社が目をつけた。当時キッコーマン社は醤油の需要の伸び悩みの時期だった。そこで海外に市場を広めようとしたのである。キッコーマン社は醤油だけを販売するのではなく、醤油を料理ごと提示するデモンストレーションの形でアメリカ人に醤油を勧めた。スーパーで肉を焼き、醤油をかけて販売したのだ。その甲斐あって、後に世界中に広がるテリヤキソースが出来上がるのである。 “teriyaki”という単語は英英辞典にも掲載されている。醤油を使った料理が正式に認知された例だろう。現在、キッコーマン社のホームページでは、醤油を使った料理が紹介されている。ここではアメリカ料理に醤油を使う料理も数多く掲載されている。伝統的といわれている七面鳥の料理でさえも、醤油が使用されているのである。

 現在では日本の醤油会社として有名なキッコーマンだが、アメリカ市場を開拓しようとした当初、日本製を前面に打ち出すことをしなかった。当時のアメリカにおける日本製品のイメージは「安かろう、悪かろう」だったからだ。消費者のイメージ調査をすると、なぜかキッコーマンは北欧的なイメージをもたれていたようだ。かつてフィンランドに「ケッコーネン」という大統領が就任していた影響もあるだろう。もしキッコーマンが日本製を強調していたとしたら「安かろう、悪かろう」のイメージで、当初の売り上げに大きな影響があったかもしれない。

 その後、醤油は更にアメリカの食に影響を与える。その代表例が寿司だ。この寿司ブームで、アメリカでは寿司の専門学校もあるほどだ。しかし、アメリカ人が寿司を食べるのはかなり抵抗があったのだ。 そこで活躍したのが寿司にかける調味料である醤油だ。寿司が広まる前、アメリカで醤油は既にかなり有名になっていた。アメリカ人は、馴染みのある醤油を寿司に大量にかけることで、寿司を食べるようになったのである。つまり、寿司を食べて不味くても醤油の味がする。 醤油を保険のように使用することで、寿司を食べ始めたのである。アメリカ人が寿司を食べる時に使用する醤油の量だが、ご飯が全部醤油味になるくらいに醤油をつけるアメリカ人も多いそうだ。寿司よりもむしろ醤油が好まれている印象を受ける。

 今日、醤油はアメリカだけではなく多くの国々で使用されている。様々な食材と相性がいいのだ。醤油はそれぞれの国で日本料理以外でも使用されている世界共通の調味料なのだ。

 



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