中村(敦志)研究室
       
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2006年度ゼミ論
                               

       日米の価値観の違い

                            佐藤 大介


 世界の中で、最も発言力のある国の一つアメリカ。何故、アメリカはこれほどまでに成長してきたのだろうか。そして日本では、アメリカの文化がどれだけ受け入れられているのだろうか。私は、この二つに焦点を絞り、取り上げることにした。

 日本人は、本当にアメリカ文化に憧れを持っているのだろうか。第二次世界大戦以前の日本人は、外国と言えばイギリスなどのヨーロッパを向いていた。しかし、第二次世界大戦後、日本人の目はアメリカに向けさせられた。なぜなら、戦後行われたGHQ(米軍総司令部)の統治によって、日本はアメリカと否応無しに強固な関係を築かされたからである。そして、日米安全保障条約を結び、日本国内に米軍の基地を設置し、駐留することになった。これに対し、安保闘争が起き日米関係は一時緊迫したが、やはりアメリカに対抗することもなく今日に至っている。

 このように、アメリカと日本の関係は、政治関係では何もかもうまくやってきたわけではない。しかし、文化交流の面で見れば日本とアメリカはきわめて友好的な関係を築いてきた。戦後の日本の経済はアメリカ資本をもとに成功し、発展させた。たとえば、ファーストフードを中心とした食文化、モータリゼーションによって発展した日本の車社会、音楽やファッションなど数え上げればきりがないほどである。

 確かにアメリカ文化は、日本に豊かさや生活の便利さをもたらした。戦前までなかった新たな文化が日本に流入し、日本人の価値観までも変えてしまった。日本人は元来、高尚な精神文化を持っていると考えられてきたが、果たして現在の日本人はどうであろうか。すっかりモノに依存した文化に陥ってしまっていないだろうか。少なくとも、アメリカ式の文化に触れることによって、モノに対する欲が強くなった。これは、日本人がアメリカ文化は、モノだけにとらわれた「物質文明」という感覚が強いからである。しかし他方では、アメリカ人の多くは神を信じ、精神的な拠り所としている。日本人は、アメリカ人のそう言った精神的側面を深く理解しているのか、疑問に思う。

 また、アメリカ人は「個」を大切にする。それに対して日本人は、周りと自分を同じ色に染めたがる。集団の中で自分の個性を打ち出すことがあまり得意ではないからだ。しかし、アメリカ人は独善的ともいえるほど自分の持ち味を表に出そうとする。他の人には真似できない、自分だけのテイストを出すことに意義を見出す。

 そして、もう一つ日本とアメリカの決定的な違いとして、「たて」と「よこ」の関係である。日本人は、「たて」の上下関係を意識し、新たなことに挑戦することよりも古くからのしきたりや、文化を大切に育む。それに対して、アメリカ人は様々な人種が暮らす土地柄もあり、みなに平等であろうという意識が強く存在する。これはまさに「よこ」の関係を重視していると言うことである。その結果、アメリカ人は新たな取り組みをして、より一層発展させていこうという文化なのである。日本人とアメリカ人では、基礎にある考え方がこれほどまでに違うのだ。

 日本人はアメリカの経済力・政治力といった表面的なものだけで判断して憧れを抱き、その物質文明だけに目をやり、魅力を感じていたのだと思う。しかし、アメリカの文化や価値観に対する誇りを理解しないままでは、本当の意味でアメリカ文化を好きだとは言えないし、ただのマネごとに過ぎない。

 日本とアメリカは、過去には戦争という悲しい事実もあった。しかし今日では、友好的な関係を築き、文化の交流も盛んに行ってきた。しかし、いまだに政治的な部分での反感があるのも事実である。日本人のアメリカ文化に対する憧れは、「物質文明」に対するものと、表面的な「平等」・「個人主義」である。しかしこれからの日米間の関係は、日本が「物質文明」のアメリカ文化だけでなく、神を重んじることや、「個」を大切にするという価値観をしっかりと理解することが大切なのである。その上でアメリカ文化を受け入れていくことが、真の文化交流に繋がっていくと思う。

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