中村(敦)研究室
       
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        アメリカ人女性の理想の姿について

                                           山澤 由佳

 現代の社会では、アメリカにおいても日本においても、女性なしでは成り立たないだろうと考える。それは、過去に比べ、女性はそれほど社会進出してきたからであるということを指している。私は、アメリカ人女性がどうやって今の社会的地位を獲得し、活躍しているのか気になり、アメリカの歴史から過去の女性たちについて調べ、現代と比較することで、最終的に現代アメリカ社会における理想の女性像とは何か求めることを目標とする。

 アメリカの歴史をたどると、「ウーマンリブ」という運動がある。ウーマンリブとは、19世紀後半から20世紀前半に起こった女性の運動のことである。この運動が起こる前のアメリカ社会は、黒人と同様に、女性も男性より、知的・精神的・肉体的に劣等であるとみなされ、家事や育児などといった分野にのみ活動を分担されていた。しかし、運動の影響によって、アメリカ人女性は、自立意識や職業意識を高めていき、女性が社会進出をすることにより、革命的な社会変化がおこったのである。この女性解放運動の火付け役となったのが、ベティ・フリーダンが著した『新しい女性の創造』という本である。運動が起きる以前では、働くことよりも結婚して夫を支えるという考えが重要視されていたのに対して、運動後には女性が次々と社会へ参加しても良いのだという考えになるなど、女性自身の意識が変化した。
 
 次に、過去と現代とのデータを比較したところ、既婚者の就業率が著しく増加した事が挙げられる。1960年と2005年の民間労働人口の有業率を既婚・未婚に分け、さらに年齢別に見ると、1960年の既婚女性で労働者として働いている人は、平均しても30.5%という結果である。一方、2005年においては、既婚の女性でも有業率は未婚の女性とさほど変わらず、平均しても既婚女性の60.7%は働いているという事を表している。運動により、雇用や産休などに関する点で法的にも認められ、社会進出できるようになったことが大きく関わっていて、その結果、現在には倍にもなる有業率の増加がみられるのだと考える。

 このような運動を通して、ベティ・フリーダンが未来の女性たちに投げかけているメッセージやベティ・フリーダンが考える理想の女性像とは何なのか。ベティ・フリーダンの考えを基に、理想の女性像を自分なりに考えたい。べティ・フリーダンは、このような事を述べている。「結婚と職業を両立させ、一生の仕事を続けることも、世間の人が考えるほど難しくない。ただ、そのためには、新しい生活を設計しなければならない。」私は、家事と社会参加の2つを同時に成し遂げることは難しいと考えていた主婦たちに、結婚と職業を両立させる事を望んでいるのではないかと考える。さらに、ベティ・フリーダンは「新しい生活設計」として2つの事を述べている。それは、「家事を職業と考えないこと」と「結婚を現実的に見ること」である。私は、女性が女性として男性と共に生きていくためには、自分が何ものであるのか確立し自信を持つことが対等に愛し合うことにつながっている、と伝えているように感じた。そして、自己を確立するために必要となってくるのが、社会的にみた自分の姿であることから、女性は働くことが必要であるのだと考える。

 夫や子どものために生きることは女らしさであるという古い風潮はなかなか反対できることでは無かったと思うが、そのような社会の中で、家事と仕事を両立させようとしてきた事は、アメリカ人女性のたくましさであり、美しさではないかと感じた。私は、社会とのつながりを持ち、自分という唯一無二の「自己」を確立することが、実はその先の結婚生活や人生に大きな影響を与えることになるのだと感じた。家事では、妻として、母親として夫や子どもたちの健やかな生活を守り、仕事では、人間としての自分の成長や才能を発揮することで、個性ある一人の女性となり、それが女性の理想の姿であると、私は考える。

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