中村(敦)研究室
       
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               秀才を生み出すユダヤ人
                      
                                           久保 康平

 現在、全世界のユダヤ人人口は約1330万人、その中でアメリカのユダヤ人人口は約590万人おり、アメリカでは数多くのユダヤ人が様々な分野で活躍している。例えば、アメリカの代表的なメディアであるABC、CBS、ロイター、ミッキーやミニーで有名なディズニー、ソフトウェア部門代表のマイクロソフト社、ハードウェア部門代表のデル社、半導体メーカーであるインテル社、コーヒーのチェーン店スター・バックス・コーヒー、日本国内でも100店舗以上を擁するトイザラスなど、これら大企業の経営者、創業者は皆ユダヤ人だ。ではなぜ、アメリカを代表する企業の経営者や創業者にユダヤ人が多いのか。彼らユダヤ人の勉強法、教育、生活習慣からその謎に迫っていく。

 まずはじめに「ユダヤ教の律法」からその疑問について考えていく。ユダヤ教には「シェマーの祈り」という神の掟があり、この掟の中に「子供と家で共に座っている時にも、道を歩いている時にも、寝ぬる時にも、トーラー(ユダヤ教の律法書)を語って聞かせ、覚えさせよ」という指示がある。これには科学的な効果があり、幼少期の読み聞かせや読書は他の何よりも脳の成長を促進させるのだという。

 次に、ユダヤ人の勉強法を紹介していく。ユダヤ教では、読み書きの教育を徹底して行っており、彼ら一人ひとりに読み書きの能力をもたせ、教養を身につけることをユダヤ教の指導者も親も非常に熱心に促進させた。その結果、ユダヤ教経典の解釈についても、掟に定められた生活の規則の解釈においても、各々の考え方やアイディアを互いに議論し合うのである。現在、法廷などで雄弁な弁護士にユダヤ人が多いのも、そういった土台から生まれたことである。また、ユダヤ人は身体全体を使った音読を繰り返して暗記するのである。単に声を出して読むのではなく、上半身をキツツキのように前後にゆすりながらひたすら声を出して読むのだ。これは上半身だけに止まらず、膝を折り曲げたり、伸ばしたり、お尻を引いたり出したりと、身体全体で読むのである。この勉強法はユダヤ人にとって伝統的な勉強法であり、最近の研究では、身体を動かす運動にも、脳の記憶や学習を司る機能の維持・改善効果があると指摘されている。つまり、音読、暗唱に運動を取り入れたユダヤ人の伝統的勉強法というのは、脳を活性化させるための知恵や工夫がたくさん盛り込まれているのである。

 最後に、ユダヤ人の生活習慣を紹介していく。ユダヤ人の生活の中で、安息日という日がある。これは週に一度金曜日の夕暮れから土曜日の夕暮れまで一切仕事をしてはいけない日である。その日一日はユダヤ人にとって勉強するために欠かせない大切な時間であり、食事と寝るだけを除いては、読書をし、沈思黙考し、そして家族で語り合う。彼らはこれを掟として守り続けており、このような掟がある民族はユダヤの他どの民族にもいない。また、この日はトーラーについて親と子供が議論をするのである。子供は親に質問をし、それに対し親は真剣にその質問に答える。これが如何に大事であるか、ユダヤの格言に「よい質問は、よい答えに勝る」というのがあり、ユダヤの勉強法では問いをもつ、ということが非常に重要である。

 このように、アメリカを代表する企業の経営者や創業者にユダヤ人が多いのは彼らユダヤ人がユダヤ教の教えを通し、その掟を幼少期から徹底して守り続けてきた結果なのではないだろうか。

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