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2005ゼミ論

アメリカの銃社会

杉本 悠一


 アメリカでは、1993年にすでに2億2300万丁もの銃が私的に所持されている。所持されている銃の種類は主にハンドガン、ライフル銃、ショットガンの三種類だ。なぜアメリカ人はこれほどまでに銃を所持したがるのだろう
か。

 彼等が銃を所持するのには理由がある。その主な理由とは、「不法侵入者を銃で威嚇、あるいは撃つため」、「銃を体験できる環境だったから」、
「的撃ちや狩猟のために銃を所持している」、「正当防衛のため」、そして「護身のため」というものだ。これらの意見は個人的には理解できる。なぜなら、自由に銃を購入し所持できる国で、これだけ多くの人が銃を持っていたならば、いつ命が危険にさらされても不思議ではないからだ。いざというときのために懐や近場に置いておくべきだと思う。現に「銃で脅されたこ
とがあるから銃を所持した」という人も存在している。銃犯罪も多発している。そのような国だからこそ銃が必要になっているのかもしれない。だか
ら、小さな子供でさえ銃を所持しているのだろう。しかも、これについては親がわが子に銃を所持させているのである。アメリカには「子にも銃を持たせたい」考える親が78%もいる(USA Today, Dec,30,1993)。驚くべき数値だ。

 多くの家庭では家に大きな銃を持ち、出歩くときには持ち運びしやすい小型の銃を持つという場合が多いようだ。もちろん全員が銃を持たない国になればそれに越したことはない。しかし、ここまで多くの市民がすでに銃を持ち、さらに「全米ライフル協会」がまだ銃を市民に薦めているという現状を変えるのには、なかなか難しいものがあると思う。アメリカでは銃の使い方の説明書が付いていて、店員から簡単に説明されるだけという場合が多くある。言わばアメリカの「銃」というのは日本で言う「携帯電話」のようなもののように感じる。

 アメリカでの銃に関する決まり事はいくつかある。アメリカ合衆国の銃の法律として存在する「合衆国憲法修正第二条」、そして、憲法とは別に「銃所持規制法」が存在する。また、「プレディけん銃暴力防止法」という法案がある。その他には銃の買い戻し運動という活動も行われた。

 このように銃を規制するために努力する市民たちも多くいる。しかし、すでに2億数千万丁の銃が氾濫しているアメリカにとっては「焼け石に水」のような気がする。そして、銃を持つことで善良な市民が犯罪者に変わる危険性もあるということを考えると、犯罪者だけをチェックしても銃犯罪の増加をなくすことは難しいと思う。

一方、そんな努力を快く思っていない団体が存在する。それが「全米ライフル協会」だ。その全米ライフル協会とは「法律を守る良き市民の銃所持の権利を守ってきた」と主張し、「銃を保持し携帯する市民の権利は侵してはならない」というモットーを掲げている。銃所持の自由確保と銃取引の自由化を最大課題とする活動に重点を置き、ワシントンD・Cにスタッフ4000人からなる本部と、全米各州に支部を持っている団体だ。

 現在でも彼等の権力や圧力は大きく、銃は売れている。全米ライフル協会の立場からは、銃を売ることは自分たちが生きてくためには仕方のないことかもしれない。しかし、このようなことから巻き添え事故による子供たちの犠牲者が急増しているのだ。

 彼等の力は強大だ。彼等がいるかぎり銃はアメリカからなくならないと私は思う。そんなアメリカの銃社会が少なからず日本に影響を与えている。アメリカで銃を国民に自由に持たせるかどうかを日本人がとやかく言っても仕方のないことかもしれない。しかし、それでも私はこの世の中から少しでも銃が消える日を願わずにはいられない。
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