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アメリカの背景にあるジーンズの役割

 

高松 佐千子

 

 今日、世界中でジーンズはさまざまな形・デザイン・色で売られており、小さな子供からお年寄りまで、そして男女を問わず愛用されている。日本でも1960年代初期からファッションとしての国産ジーンズが誕生し、少なくても40年以上も飽きられずに履かれている。ジーンズは、色々な服に合わせ易く、気軽に着用でき、丈夫で長持ちし、そして飽きない。これらの点がジーンズの特徴であり、長い間存在し続けた理由ではないかと思う。ジーンズが世界中に知られるには、ジーンズの発祥の国といわれるアメリカの文化と深く関係していると考え、ゼミ論文でテーマとして調べてきた。

ジーンズとは何だろうと考えると、大半、デニム生地で青く染められたズボンを想像するが、実は、ジーンズとは生地の名前であった。デニムとはフランスのニームという街で作られた綾織のサージ生地を指し、デニムがイタリアのジェノバという港からアメリカへ輸出された事からこの生地はジーンズという名前に変化していった。そしてこの頃、アメリカではゴールドラッシュ。金を求める人々の作業ズボンを幌馬車のテント生地で作っていたのが、後の巨大ジーンズメーカー、リーバイスを設立するリーバイ・ストラウスであった。彼とジーンズ生地の出会いにより、工夫された丈夫なジーンズというズボンが誕生し、金掘りの人々から支持された。そして、ジーンズはその丈夫さから、作業着として使われるようになる。

 第2次世界大戦では、労働者不足によって女性が労働に進出する中で、女性の服装はスカート姿からジーンズ姿へと変化する。お上品な女性文化が消える時代でもあった。戦後になると、アメリカは経済大国になり、欲しい物が手に入る時代になる。だが、まだジーンズは単なる作業着に過ぎず、普段着としてさえも認められず、大人やアメリカ社会から嫌われていた。

しかし60年代になると、大人への反抗精神の強い若き俳優、ジェームス・ディーンや、美しく決して気取らない女優、マリリン・モンローの出現する。彼らがジーンズを愛用していた事から、若者は反抗の証として、女性はファッションとしてのジーンズを履くようになっていった。

このように、ジーンズはそれぞれの時代や文化によって、異なる意味を持つズボンであった。と同時に、決して今のように誰もが履いていたわけではない。一部の人々にしか愛用されていなかった時代もあった。しかし、現在では誰でも抵抗なく履いている。ジーンズは象徴性をもはや持たなくなった。つまり、ジーンズ自体が自由になった事で、ジーンズ本来の履き心地や丈夫さ、何を着ても合うという良さが、ジーンズ誕生からようやくどんな人々にも理解され、認められて、今のジーンズに至ったと私は考えている。


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