中村(敦)研究室
       
ホーム
ゼミナール
授業の紹介
英語の学習
◆アメリカの文学
◆リンク
過去のお知らせ
                                        
ホーム ◆ゼミナール ◆ゼミ論


多様化するアメリカ家族

 

管野 美由紀

 

 ゼミ論文でアメリカの家族について調べ始めたのは、私が実際にアメリカでホームステイした時に、予想よりはるかにシングルマザーが多いと実感したからだ。

1990年以降、アメリカで養子縁組はよりオープンになり、海外からの子供たちが目立ち始めた。また、生殖技術が発展し、不妊夫婦だけでなく非婚カップルやゲイ、レズビアン、シングルにも子供を持つことができるという大きな夢を実現させることになってきた。このようにして、現在、アメリカの家族を定義するのは不可能なほどその形は多様化している。そこで、私は家族の選択のチャンスが広がった原因の一つと言える、生殖技術の発展がアメリカではどう捉えられているのか、代理母制度に的を絞りながら追求した。

代理母は1976年にアメリカで第1号が誕生し、今日アメリカとイギリスのみで法律上認められている。イギリスでは、ビジネスとしての斡旋は禁止しているが、アメリカでは連邦レベルでの規制がないため、ほぼ野放しの状態で行われている。そして、今では年間1千人もの子供がこの方法で生まれている。また、斡旋機関が多数存在するようになり、不妊治療として年間20億ドルの巨大産業へと成長している。 このようなことから、代理母は報酬目的で行っているのではないか、女性の身体を商品化しているなどと批判する声もたくさんある。しかし、代理母を引き受ける女性は、純粋な気持ちで子供を持てない夫婦に少しでも貢献したいという願いで行っているそうだ。これは、家族のもつ意味や、大切さを十分知っているからなのであろう。

ゼミでアメリカの家族を調べてきて一番感じたことは、アメリカ人にとって子供をもつということはとても重要であり、自分で産まなくても育てることに価値があると考えているのだろうと思った。アメリカは個人の自由を尊重する国でもあり、個人の幸せを選択しながら時代と共に家族の形も変化してきた。私たち日本人の感覚では、当たり前に考える家族が、当たり前に存在しなくなってくるかもしれない。だからこそ、私たちが見失った家族のあり方がそこには見えてくるのではないかと思う。ゼミ論を通して、アメリカに関わらず、家族というものを大切に考えられるようになった。今後、家族の多様化が日本でも起こりうるので、身近な問題としてさらに関心を深めたいと思う。


 トップ アイコントップページへもどる