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大学におけるアメリカと日本の教育の違い

大能 淑恵

 

 アメリカ人には、ノーベル賞受賞者が多い。それは、どのような教育から生まれるのだろうか。

大学での教育を見てみると日本と違うシステムがいくつかある。アメリカの大学には、総合大学(university)、文理大学(liberal arts college)があり、大学といっても、州立、市立、私立などさまざまで一概に論ずることは出来ない。二年制大学は、いわゆる二年制カレジ(2 year college)とコミュニティーカレジ(community college)がある。日本で言う短期大学に似ていると思われるものは本来の二年制カレジで、その数は少なくその他にもさまざまな種類がある。入学に必要なものは、まず高校卒業免状である。入学選考はオープン入学という、志望者のほとんどを入学させるものと、高校の成績、SAT、ACT、APテスト、エッセイ、特技、面接などに基づいて合格者を選ぶ二種類に分けられている。進学費用については、奨学金制度が発達していて学費の全額を親・親戚などに依存している学生はほとんどいないといって良い。

 これだけでも日本の制度と違う点が見られるが、一番大きな違いは文部省という国家機関が存在しない事である。日本では、文部大臣が教育の統括を行い、その法的な権威を持つ。アメリカでは、監督権は州などの地方公共機関、民間団体にあって合衆国連邦政府にはない。また、大学の設立・廃止などは、私立・公立を問わず、州政府の許可が必要である。この最大の違いが、大学や入学資格、学費援助に特色を出している要因と言えるであろう。そして、入学資格がさまざまな為、日本のように詳細に大学を偏差値で分けていない。各学期(2,3回)ごとに学生を受け入れるので、1年待たなくてもよい。ある大学から別の大学に移る事が一般的。大学名の評価同様、学部、学科によっても評価がある。4年制大学卒が最終学歴であるとは考えられていない。さらに、医学部、歯学や法学部などの上級専門学部はProfessional Schoolとして、1学部(Undergraduate,UG)より上級におかれている。

 授業については、学生が教授のコースに評価をつけるため、成績が甘くなり、学生の学力低下が問題になっているらしいが、良い面もあり、序列のようなものがなく教授と平等に研究発表が出来る。

しかし良い成績をつける理由が別にある。それは人種問題である。黒人、ヒスパニック、および他国からの移民と白人学生との差を是正するために、授業内容をやさしくしているのだ。

 アメリカの教育には、入学制度も沢山あり、学費援助も発達していて転学、入学チャンスも多く大学院も一般的である。教授との関係も対等でのびのび研究できる。しかし最大の違いは「差を是正するために」という点である。アメリカの時代背景が、教育に重要な影響を与えている。チャンスが広く対等なのは、ただ有能な人材を育てる為ではなく、多民族、多文化問題という問題を抱えているからである。

 

 

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