銃社会アメリカの現状

矢野 琴美

 

2004年現在もアメリカ合衆国法では、アメリカ国民が銃を所有する権利が守られている。これは1798年から変わらない。今や銃は、ホームセンターやガンショーに行けば安々と人手に渡っていくものとなってしまった。問題なのはこれが、ナイフやゴルフクラブの、「食品を調理する道具」、「ゴルフをする道具」などに当たる正規の目的が「人を殺すことを目的に設計されている大衆商品」に該当することであると考える。

アメリカ国内には現在あらゆる種類の銃砲器を含めると2.3億丁以上の銃器が出回っており、アメリカの家庭の3分の1が一丁以上を所持、7000万人が所持しているということになっている。なぜ国民は銃を手にとるのか。銃が殺戮の道具であると分かっていながら、彼らがそれを保持するのはアメリカ社会が病んでいるからなのか。犯罪が多いから銃保持者が増えたのか、またはその逆なのだろうか。銃で本当に自己防衛が成り立っているのか。銃はアメリカ産業や文化の願望であり象徴である。その制度や道徳的習慣が、恐ろしい数の銃による殺傷の犠牲者と凶悪な事件を珍しくないものにしている。ここまで蔓延していることを考えると、恐ろしいという感情を通り越して麻痺しているのだろう。実際に起きている銃がらみの殺人・強盗・加重暴行件数が年間およそ41万5000件というのが現状である。

今回は、「病んでいるから」という理由だけでは片付けられないこの銃社会の下に隠れている現状を認識し、それを見直すには国民のどのような意識が必要なのかを改めて考えてみると同時に、アメリカの銃に依存した歴史的背景からや政治的社会的な風潮から、メディア・マスコミ、土地柄など色々な視点から原因を探った。

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