【卒業論文(2004)】

             日系アメリカ人のアイデンティティ

                                      渡部 幸香

目 次
 序論                       
 第1章 1.渡米  2.差別と排日運動の高まり 3.120%アメリカ人
 第2章 1.強制収容   2.忠誠登録   3.撃ちてしてやまむ
 第3章 1.第三世界ストライキ 2.戦後補償
 結論                     
       

 かつて一攫千金を夢みてアメリカへ渡った日本人がいた。彼らは日系移民1世となり、アメリカで成功を収めるために、アメリカ人のアイデンティティを身につけていく。だが、日本人であることを忘れることはできなかった。そのため日本の伝統的価値観を、彼らの子孫である2世へと教化していく。1世から日本的なアイデンティティを継承したことで、2世は二重性を持ち始める。それは、両親を敬い、権威を尊重する従順な日本人としての自分と、限界に挑戦する冒険好きで自立志向の強いアメリカ人としての自分が存在するということだ。彼らはこの二重性によって苦しめられ、日本とアメリカ、アメリカ政府と両親との間で揺れ動かされていく。最終的に2世はアメリカ人として生きることを選んだ。

 一方、アメリカ人となった2世の子供、3世達は自分達の中に存在する二重性や多様化したエスニック社会から吸収したアイデンティティを受け入れていく。3世達は日本人でも、日系アメリカ人でもなく、マイノリティとしてのアジア系アメリカ人となったのだ。世代が進むにつれ、見た目では何人か判断できないほど、彼らの中には様々な人種の血が流れている。だが、彼らのルーツの第一歩は間違いなく日本人であったのだ。新たな世代が誕生するたびに、日本との繋がりや日本的なアイデンティティは薄れていくように見える。しかしロサンゼルスにある「全米日系人博物館」のように、未だに日本との繋がりや、自分達の歴史を大切にしているところもある。彼らは自らのルーツについて学び・理解する事で真のアジア系アメリカ人となることができるのだ。かつて日本人でしかなかった移民1世は、何世代も経た現代に偉大な国アメリカのアジア系アメリカ人として、歴史の中に足跡を残している。
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