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アメリカにおける保育の多様化

石垣 利奈

 

 現在アメリカでは母親が就労している家族が多く、保育サービスを利用する家族は急増し、そのためアメリカでは保育サービスの内容が多様化してきている。

 実際にどのような保育サービスがあるかというと、プレスクール(ナーサリースクール)という1〜2年間の期間で主に私立で有料のもの。ほとんどが義務教育で5〜6歳になると入るところであり、ほとんどの公立・私立の小学校に設けられているもの。これら2つは日本でいう保育園と同じで、いわゆる集団保育である。これをもっと少人数にしたものがファミリィデイケアであり、個人が家族内で自分の子どもを含めて5、6人まで見るものだ。そしてもっと少ない個人で見る保育がベビーシッターなのである。

 では利用状況はどのようになっているのかというと、貧困層や1人親の家族への援助や給付制度はたくさんあるが、両親がそろっている中流以上の、いわゆる一般家族といわれる家族への援助はほとんどないに等しいのである。したがって私は、きちんと整備が整っているプレスクールやデイケアセンターなどに子どもをいれようとすると、たいへん費用がかさむため、好きなときに好きなだけ預けることができ、費用もある程度は融通が利くファミリーデイケアや、ベビーシッターが利用されることがおおいのであろうと考えた。母親が働いている場合はなおのこと、ファミリーデイケアやベビーシッターのほうが便利であるということだ。しかし一方で、アメリカの古き伝統的家庭の価値観は、一家を守る強い保護者的父親と家事に励み家族のために家庭を守る母親像が強い。そのため中流家庭では、子どもはできるだけ母親が育てるべきだという傾向が強く、一般的な子育てで家庭の家族政策は税制優遇制度くらいで、欧州の育児休業制度や家族現金給付のようには未だ整備されていないのが現状である。

 日本では「4歳になったから幼稚園(保育園)に入れる」と言うように決まっているようなところがあるが、アメリアでは年齢に関係なく、働きに出たいから、見てくれる人がいないから、などということで保育施設を利用している家庭が多く、それぞれの親の考えで自由な感じに見受けられる。つまり、ここまで保育サービスが多様化した背景には、アメリカが個人主義の考え方なのであるということが根本にあるからなのだと、私は思う。個人主義だからこそ、ここまで保育サービスが多様化したのだ。