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札幌学院大学の岸本宜久の研究室です。おもにアイヌ語を対象とする言語学的研究をしています。

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日本語北海道方言

目次

調査協力者について

1拍語のアクセント
 第1類 柄・緒・蚊…
 第2類 鵜・名・葉…
 第3類 絵・尾・木…


2拍語のアクセント
 
第1類 灰汁・姉・烏賊…
 第2類 痣・石・岩…
 第3類 垢・足・明日…
 
第4類 跡・粟・息…

 第5類 秋・汗・虻…

3拍語のアクセント
 第1類 鰯・踊り・飾り…
 
第2類 小豆・東・二つ…
 
第4類 頭・男・鏡…
 
第5類 朝日・油・鮑…
 
第6類 兎・狐・虱…
 
第7類 苺・辛子・鯨…
 
その他 泉・烏・黄金…

4拍語のアクセント

地名のアクセント
 3拍の地名アクセント
 4拍の地名アクセント
 5拍の地名アクセント

調査協力者について

TYさん 1931(昭和6)年、札幌市出身。女性。専業主婦。岸本の外祖母。

KTさん 1931(昭和6)年、栗沢町(現 岩見沢市栗沢町)最上出身。男性。農業。


本ページにおける「北海道方言」とは、おもに上記の内陸部方言および岸本の内省、記録に基づくものです。

録音について

本サイトで公開している音声は、以下の機会にご協力いただき録音したものです。PowerPointをもちいて1つずつ文を提示し、それを読み上げていただきました。

調査協力者 録音日   主な録音内容
 TYさん    2014年02月17日 1拍語〜3拍語の名詞
2015年04月02日 1拍語の名詞
2015年04月03日 2拍語の名詞
2016年01月01日 3拍語の名詞
 KTさん  2015年05月04日 1拍語〜3拍語の名詞
2015年05月31日 2拍語〜3拍語の名詞

使用機材
audio-technica AT9942(モノラルマイクロホン)
OLYMPUS Voice-Treck DS-850(ICレコーダー)

1拍語のアクセント

北海道方言の1拍語名詞のアクセントは、類にかかわらず有核になる傾向があるようです。高年層では傾向が顕著に思われますが、中年層・若年層のあいだでは有核・無核の対立がきかれることもあります(令和元年現在)。
 
以下では、金田一(1974)などで示されてきた1拍和語の語類(いわゆる金田一類別語彙)にしたがって、第1類から第3類の1拍語名詞のデータを示します。なお、高年層では類別表外の「胃」や「巣」なども基本的に有核となります(データあり)。


参考文献
金田一春彦(1974)『国語アクセントの歴史研究 −原理と方法』塙書房.
金田一春彦(1975)『日本の方言:アクセントの変遷とその実相』教育出版.

1拍語アクセント 第1類
柄・緒・蚊・香・子・血・戸・帆

現代の標準語では、助詞がついたり無助詞で2拍化しても下がり目のない無核(平板型)が優勢の類。北海道方言では基本的に有核となります。
 TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
  この箒は柄が折れていてあぶないよ
/エが/

柄杓の柄をにぎる
/エを/

cf. 絵 /エ/
採録なし 
  堪忍袋の緒が切れた
/オが/

下駄に緒をすげる
/オを/

cf. 尾 /オ/
採録なし
  あの人の腕に蚊がとまっている
/カが/

蚊が飛んでいる
/カが/

手で蚊をたたいた
/カを/

蚊に刺されて腕がかゆい
/カに/

cf. 香 /カ/
腕を蚊にくわれる
/カに/
  梅の香が漂っている
/カが/

柚子の香をたのしむ
/カを/

cf. 蚊 /カ/
採録なし
  子が親を思う心
/コが/

親が子を思う心
/コを/

cf. 粉 /コ/
ツバメの子が口をあける
/コが/

娘に子がうまれる
/コが/
  転んで鼻から血がでた
/チが/

検査で血をとった
/チを/
指から血がでた
/チが/
  納屋の戸がひらきっぱなしだよ
/トが/

戸があいている
/トが/

戸を押してあけた
/トを/

戸に鍵がついてない
/トに/
戸をしめる
/トを/
  船の帆が破けている
/ホが/

沖に帆をはった船が見える
/ホを/
採録なし

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1拍語アクセント 第2類
鵜・名・葉・日・藻・矢

現代の標準語では、助詞がついたり無助詞で2拍化しても下がり目のない無核(平板型)が優勢の類。北海道方言では基本的に有核となります。
   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
  鵜が鮎を丸のみにする
/ウが/

 採録なし
  そんなことでは名がすたる
/ナが/

孫が子犬に名をつけた
/ナを/

cf. 菜 /ナ/
役員に名をつらねる
/ナを/
  夏には葉がしげる
/ハが/

葉が落ちる
/ハが/

道でイチョウの葉をひろった
/ハを/

cf. 歯 /ハ/(記録あり・未公開)
虫に葉をくわれた
/ハを/
  冬になると日が暮れるのが早い
/ヒが/

日が長くなった
/ヒが/

このところ日をおうごとに寒くなる
/ヒを/

日に焼けて色が薄くなった
/ヒに/

cf. 火 /ヒ/
夏は日が長い
/ヒが/
  湖に藻がはえている
/モが/

水槽の藻をはがす
/モを/
 採録なし
  的に矢がささる
/ヤが/

矢が飛んでいく
/ヤが/

的に向けて矢を飛ばす
/ヤを/
 採録なし

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1拍語アクセント 第3類
絵・尾・木・粉・酢・田・手・菜・荷・根・野・火・穂・箕・目・芽・湯・輪

現代の標準語では、助詞がついたり無助詞で2拍化したさいに下がり目のある有核(頭高型)が優勢の類。北海道方言でも基本的に有核になります。
   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
  新しい絵がかけてある
/エが/

スズランの絵をかいた
/エを/

cf. 柄 /エ/
頼まれて紙に絵を描いた
/エを/
  あの鳥は尾が長い
/オが/

犬が尾をふる
/オを/

cf. 緒 /オ/
採録なし
  なかなか木がはえない
/キが/

木が倒れる
/キが/

木を切っている
/キを/

木に蔦が絡まっている
/キに/

cf. 気 /キ/(記録あり・未公開)
 採録なし
  乾燥して肌が粉をふいている
/コを/

cf. 子 /コ/
 採録なし
  酢がなくなる
/スが/

酢を買った
/スを/


cf. 巣 /ス/ (記録あり・未公開)
 採録なし

cf. スズメが巣をつくる
/スを/
  どこまでも田が広がっている
/タが/

田を耕している
/タを/
 採録なし
  手が痛い
/テが/

赤ちゃんの手をにぎる
/テを/
今、手が離せない
/テが/
  丘で菜を摘む
/ナを/

cf. 名 /ナ/
採録なし
   採録なし 床に荷をおろす
/ニを/
  タンポポは根が深い
/ネが/

ユリの根をほる
/ネを/
タマネギの根を切る
/ネを/
  馬が野をかける
/ノを/
 採録なし
  空き家から火がでた
/ヒが/

寒いので火をたいた
/ヒを/

cf. 日 /ヒ/
外から帰って火にあたる
/ヒに/
  秋には穂を刈りとる
/ホを/

cf. 帆 /ホ/
風が穂をゆらす
/ホを/
  農家で箕が盗まれたそうだよ
/ミが/

昔は箕を使って脱穀した
/ミを/

cf. 身・実 /ミ/(記録あり・未公開)
 採録なし
  風がつよくて目があけられない
/メが/

目が痛い
/メが/

こないだ病院で目を手術した
/メを/

cf. 芽 /メ/
目にゴミがはいる
/メに/
  まだ芽が出ない
/メが/

畑のキャベツが芽を出す
/メを/

cf. 目 /メ/
 採録なし
  まだ湯がわかない
/ユが/
鍋で湯をわかす
/ユを/
  トンビが輪を描いて飛んでいる
/ワを/
 採録なし

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2拍語のアクセント

以下では、金田一(1974)などで示されてきた2拍和語の語類(いわゆる金田一類別語彙)にしたがって、第1類から第5類の2拍語名詞のデータを示します。

参考文献
金田一春彦(1974)『国語アクセントの歴史研究 −原理と方法』塙書房.
金田一春彦(1975)『日本の方言:アクセントの変遷とその実相』教育出版.

2拍語アクセント 第1類

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
 灰汁 灰汁がつよい
/アクが/
採録なし
  昨日、姉が来た
/アネが/
採録なし
  久しぶりに飴を買った
/アメを/
蟻が飴にたかる
/アメに/
  床に蟻が這っている
/アリが/
蟻が飴にたかる
/アリが/
 烏賊 烏賊が釣れた
/イカが/


函館は烏賊が有名
/イカが/

市場で烏賊を買った
/イカを/
 採録なし
  牧場に牛がいる
/ウシが/

牛がいる
/ウシが/
毎朝、牛の餌をやる
/ウシの/

*「毎朝、牛に餌をやる」というスライドを示したが、「の」と読み違えた可能性あり。
  公園の梅が咲いた
/ウメが/
 採録なし
  風で枝が折れたようだ
/エダが/
 採録なし
 海老 市場で海老が安い
/エビが/


海老が食べたい
/エビが/
 採録なし
  店で柿が売っている
/カキが/
 採録なし
  擦り傷で瘡(かさ)ができた
/カサが/
 採録なし
  風が強くて葉が落ちる
/カゼが/
今日は風が強い
/カゼが/

風が穂をゆらす
/カゼが/
  二条市場で蟹が売っている
/カニが/

蟹が食べたい
/カニが/

この蟹は殻がかたい
/カニは/
 採録なし
  どうも金が足りないそうだ
/カネが/
 採録なし
  遠くで鐘が鳴っている
/カネが/
 採録なし
  地震で壁が崩れた
/カベが/
 採録なし
  あの人、顔が赤いよ
/カオが/
 採録なし
  釜が割れた
/カマが/
 採録なし
  今朝は粥が食べたい
/カユが/
 採録なし
 雉子 きびだんごを雉子がねだった
/キジが/
 採録なし
  お皿に疵(きず)がついた
/キズが/
刀に疵がつく
/キズが/
  箪笥は桐がいい
/キリが/
 採録なし
  まだ霧が濃くて危ない
/キリが/
 採録なし
  板から釘が出ている
/クギが/
 採録なし
  酔っぱらって口がまわらない
/クチが/
 採録なし
  政治がいいと国が栄える
/クニが/
 採録なし
  赤ちゃんの頸(くび)がすわった
/クビが/
 採録なし
  畑で鍬(くわ)がなくなった
/クワが/
 採録なし
  年内はが忙しい
/クレが/
 採録なし
  転んで腰が痛い
/コシが/
 採録なし
 籠手 剣道で籠手が決まる
/コテが/
 採録なし
  将棋をするにも駒が足りない
/コマが/
 採録なし
  荷車に薦(こも)が掛けてある
/コモが/
 採録なし
  あそこにこれが落ちてました
/コレが/
 採録なし
  暗くて先が見えない
/サキが/
 採録なし
  動物園で鷺がみられる
/サギが/
 採録なし
  あの店は酒が安い
/サケが/

酒が足りない
/サケが/
あの人は酒に強い
/サケに/
  一面、笹が生えている
/ササが/
 採録なし
  山奥に里があるらしい
/サトが/
 採録なし
  今日は鯖が安い
/サバが/
 採録なし
  鮫が網にかかった
/サメが/
 採録なし
  手がすべって皿が割れた
/サラが/

皿が割れる
/サラが/
 採録なし
  隣のうちは芝がきれい
/シバが/
 採録なし
  このクリームで皺がとれる
/シワが/
 採録なし
  昨日、鋤(すき)が折れた
/スキが/
 採録なし
  内地は杉が多い
/スギが/
 採録なし
  遠くで鈴がなる
/スズが/
 採録なし
  着物の裾が汚れる
/スソが/
 採録なし
  今月の末が誕生日です
/スエが/
 採録なし
  この風呂桶は底が深い
/ソコが/
 
 採録なし
  シャツの袖が破れる
/ソデが/
袖を水でぬらす
/ソデを/
  ああ、それが良かったんだね
/ソレが/
 採録なし
  鷹が飛んでいる
/タカが/
 採録なし
  滝が凍っている
/タキが/

ここに滝があった
/タキが/

この奥に滝があるそうだ
/タキが/
 採録なし
  北海道には竹が生えない
/タケが/
 採録なし
  吊っていた棚が落ちる
/タナが/
 採録なし
  床に塵が積もる
/チリが/
 採録なし
  なんでもいいから筒がほしい
/ツツが/
 採録なし
  床の間の壺が割れている
/ツボが/
 採録なし
  ぶつけて爪が割れた
/ツメが/
 採録なし
  父は釣が好きだった
/ツリが/
 採録なし
  毎晩早く床につく
/トコに/
 採録なし
  動物園で虎がみられる
/トラが/
 採録なし
  枝に鳥がとまる
/トリが/
 採録なし
 西 方角は西がいい
/ニシが/
西と東で言葉がちがう
/ニシと/
  お隣は庭が広い
/ニワが/
 採録なし
  明日、布が手に入る
/ヌノが/
 採録なし
  箱があると助かる
/ハコが/
 採録なし
  この紙、端が折れてますよ
/ハシが/
 採録なし
  沼に蓮が咲いている
/ハスが/
 採録なし
  窓から蜂が入ってきた
/ハチが/

蜂が飛んできた
/ハチが/
蜂が花にとまる
/ハチが/
  ひどい臭いで鼻がまがる
/ハナが/

鼻が痛い
/ハナが/
象は鼻が長い
/ハナが/
 羽根 羽子板の羽根が木にひっかかる
/ハネが/
 採録なし
  噴火で灰が降ってきた
/ハイが/
 採録なし
  食べ物に蝿がよる
/ハエが/
 採録なし
  畑に稗が生える
/ヒエが/
 採録なし
  父は髭が長い
/ヒゲが/
 採録なし
  曲げると膝が痛い
/ヒザが/
 採録なし
  仕事で暇ががない
/ヒマが/
 採録なし
  すぐに紐がほどける
/ヒモが/

紐がほどける
/ヒモが/
 採録なし
  魚には鰭がある
/ヒレが/
 採録なし
  かけていた蓋がはずれる
/フタが/
蓋をする
/フタを/
  荷物に札がついている
/フダが/
 採録なし
  公園で藤が咲いた
/フジが/
 採録なし
  昨日、筆が折れた
/フデが/
 採録なし
  遠くで笛がきこえ
/フエが/
 採録なし
  あの人は臍(へそ)が曲がっている
/ヘソが/
 採録なし
  あの丘から星がきれいにみえる
/ホシが/
 採録なし
  的がはずれる
/マトが/
 採録なし
  明日、京都で舞がみられる
/マイが/
 採録なし
  この丁字路は右が通行止めだ
/ミギが/
 採録なし
  落石で道がふさがった
/ミチが/

道に穴があいている
/ミチに/

道でイチョウの葉をひろった
/ミチで/
道で石につまづく
/ミチで/
  明日は水が出ない
/ミズが/
田んぼに水をひく
/ミズを/

桶に水を入れる
/ミズを/
  朝日で峰が光る
/ミネが/
 採録なし
  地面に虫が這う
/ムシが/
小さな虫にも命がある
/ムシにも/

虫に葉を食われた
/ムシに/
  脱穀した籾が発芽する
/モミが/
 採録なし
  今年は桃が高い
/モモが/
 採録なし
  開発で森が消える
/モリが/
 採録なし
  明日、嫁が帰ってくる
/ヨメが/
 採録なし
  美瑛は丘がきれいだった
/オカが/
 採録なし
  昨日、甥が訪ねてきた
/スエが/
 採録なし
 何処 花見はどこがいいでしょう
/ドコが/
 採録なし
 真似 あの人は真似がうまい
/マネが/
 採録なし
  来週にも棟ができあがる
/ムネが/
 採録なし
  あとで籠がいります
/カゴが/
 採録なし
 仮名 この子はもう仮名が書ける
/カナが/
 採録なし
 甲斐 世話をした甲斐がありました
/カイが/
 採録なし
  昨日の株が暴落した
/カブが/
 採録なし
 蚊帳 夏は蚊帳をつって寝た
/カヤを/
 採録なし
 胡麻 このタレには胡麻が入っている
/ゴマが/
すり鉢で胡麻をする
/ゴマを/
  戦で城が落ちた
/シロが/
 採録なし
  たくさん磨いて艶がでた
/ツヤが/
 採録なし
  家の裏に藪が広がる
/ヤブが/
藪で蛇をみた
/ヤブで/
  戦で槍が折れた
/ヤリが/
 採録なし
  このバスは床が低い
/ユカが/
床に荷をおろす
/ユカに/
 百合 花壇に百合が咲いている
/ユリが/
花屋で百合を買う
/ユリを/
  横が空いている
/ヨコが/
 採録なし

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2拍語アクセント 第2類

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
  ぶつけたところに痣が残った
/アザが/
 採録なし
  石が転がってきた
/イシが/

河原に石がある
/イシが/
道で石につまづく
/イシに/

烏(カラス)に石を投げる
/イシを/
 
  崖で岩が割れた
/イワが/

岩に苔がむす
/イワに/
 採録なし
  あの人は歌が上手だ
/ウタが/
テレビから歌が聞こえる
/ウタが/
  近くで音がなった
/オトが/
外で音がする
/オトが/
  家の周りに垣がめぐらせてある
/カキが/
 採録なし
  この服は型が決まっている
/カタが/
 採録なし
  川がこおる
/カワが/

川に橋が架かっている
/カワに/

遠くまで川が流れていく
/カワが/

秋になると鮭が川にあがる
/カワに/

 採録なし
  紙が破けた
/カミが/

引っ張って紙が破れる
/カミが/

この紙は裏が白い
/カミは/
頼まれて紙に絵を描いた
/カミに/
  ここからだと北が植物園です
/キタが/
 採録なし
  焼き鳥を作るからたくさん串がいる
/クシが/
 採録なし
  馬に乗るには鞍がいる
/クラが/
 採録なし
  明日から旅が始まる
/タビが/
 採録なし
  浜辺に塚がある
/ツカが/
 採録なし
  私は次が当番です
/ツギが/
 採録なし
  木に蔦が絡まっている
/ツタが/
 採録なし
  昨日、弦が切れた
/ツルが/
 
 採録なし
  梨が食べたい
/ナシが/

今日は梨が安い
/ナシが/
 採録なし
  橋がないから渡れない
/ハシが/

川に橋が架かっている
/ハシが/
歩いて橋を渡る
/ハシを/
  旗があがる
/ハタが/

空に旗がなびいている
/ハタが/
 採録なし
  あの人は機が織れる
/ハタが/
 採録なし
  肘が痛い
/ヒジが/

ぶつけて肘が痛い
/ヒジが/
 採録なし
  明日なら昼が都合いいです
/ヒルが/
 採録なし
  冬がきた
/フユが/

北海道は冬が厳しい
/フユが/

冬になると日が暮れるのが早い
/フユに/

冬になって息が白い
/フユに/

 採録なし
  町ができる
/マチが/

オリンピックで町ができた
/マチが/
 採録なし
  胸がどきどきした
/ムネが/

食べ過ぎて胸がやけた
/ムネが/
 採録なし
  近くに村があった
/ムラが/
 採録なし
  新潟は雪が多い地方だ
/ユキが/
 採録なし
  今年は鯵がよくとれた
/アジが/
 採録なし
  彼が言うことは冗談ばかりだ
/カレが/
 採録なし
 栗毬 栗は栗毬(いが)が痛くて持てない
/イガが/
 採録なし
  象は牙が高く売れる
/キバが/
 採録なし
  空き地に杭が打たれた
/クイが/
 採録なし
  夏になると蝉がうるさい
/セミが/
 採録なし
  夫を妻が立てた時代
/ツマが/
 採録なし
  なにかあって人が集まっている
/ヒトが/
明日、人に会いに行く
/ヒトに/
  この城には姫がいた
/ヒメが/
 採録なし
  友人から文が届く
/フミが/
 採録なし
  この蟹は殻がかたい
/カラが/
 採録なし
  毎年、夏が来ると思い出す
/ナツが/
 採録なし
  昼過ぎに虹が出た
/ニジが/
昨日、虹をみた
/ニジを/
 余所 余所が羨ましくみえる
/ヨソが/
 採録なし

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2拍語アクセント 第3類

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
  風呂場の溝に垢がついている
/アカが/
 採録なし
  歩きすぎて足が痛い
/アシが/
 採録なし
 明日 あの人は明日(あす)が誕生日だ
/アスが/
 採録なし
  漁で網が破れる
/アミが/
魚が網にたくさんかかった
/アミに/
  ビールは泡が多い
/アワが/
 採録なし
  庭に池があった
/イケが/
 採録なし
  犬が吠える
/イヌが/

遠くで犬が吠えている
/イヌが/
 採録なし
  津波で家が流された
/イエが/
歩いて家に帰る
/イエに/
  畑で芋がたくさんとれた
/イモが/
 採録なし
  日に焼けて色が薄くなった
/イロが/
 採録なし
  ごみに蛆がわいた
/ウジが/
 採録なし
  蚊に刺されて腕がかゆい
/ウデが/
 採録なし
  どこまでも畝がつづく
/ウネが/
畑に畝をつくる
/ウネを/
  牧場に馬がいる
/ウマが/

馬が野をかける
/ウマを/

馬に乗るには鞍がいる
/ウマに/

馬が
走っている

/ウマが/
 
馬に餌をやる
/ウマに/
  この紙は裏が白い
/ウラが/
 採録なし
  節分で鬼がきた
/オニが/
 採録なし
  あの子は親がいない
/オヤが/
 採録なし
  戸に鍵がついてない
/カギが/
 採録なし
 勝ち あの試合は勝ちが決まった
/カチが/
 採録なし
  御神木には神が宿る
/カミが/
 採録なし
  台所に瓶(かめ)が置いてある
/カメが/
 採録なし
  野原に菊が咲いた
/キクが/
 採録なし
  まだ岸が遠い
/キシが/
 採録なし
  あの人は肝がすわっている
/キモが/
 採録なし
  茎が折れた
/クキが/
 採録なし
  アスファルトに草が生えてきた
/クサが/
 採録なし
  靴が脱げた
/クツが/


靴があわない
/クツが/
 採録なし
  山で熊が人を襲った
/クマが/

住宅街に熊がでたそうだ
/クマが/

熊が
出た

/クマが/
また山で熊を見た
/クマを/
  お友達とは組がちがう
/クミが/
 採録なし
  木のまわりに栗が落ちている
/クリが/


栗が食べたい
/クリが/
 採録なし
  来年にも倉が取り壊される
/クラが/
 採録なし
  岩に苔がむす
/コケが/
 採録なし
  事が明るみになる
/コトが/
 採録なし
  米がなくなった
/コメが/

米櫃に米がなくなる
/コメが/
米を俵につめる
/コメを/
  ここは坂がきつい
/サカが/
自転車で坂をくだる
/サカを/
 錆び 重曹で錆びがうく
/サビが/
 採録なし
 竿 竿が折れる
/サオが/
 採録なし
  舌がもつれる
/シタが/

辛い物を食べて舌が痛い
/シタが/
 採録なし
  まだ塩が足りないようだ
/シオが/
 採録なし
  あと少しで潮が満ちる
/シオが/
 採録なし
  沖に島が見える
/シマが/
 採録なし
  花に霜がおりる
/シモが/
 採録なし
  尻もちをついて尻が痛い
/シリが/
 採録なし
  小樽は鮨がうまい
/スシが/
 
 採録なし
  脛が痛い
/スネが/
 
 採録なし
  焼肉に炭が足りない
/スミが/
 
 採録なし
  書道で墨が切れた
/スミが/
 
 採録なし
  春に芹が生える
/セリが/
 
 採録なし
  このズボンは丈が短い
/タケが/
 
 採録なし
  ここは谷が深い
/タニが/
 
 採録なし
  星空に月がのぼった
/ツキが/
 
 採録なし
  着物に土がついた
/ツチが/
 
 採録なし
  綱引きの綱が切れた
/ツナが/
 
 採録なし
  鹿に角が生えた
/ツノが/
 
 採録なし
 弟子 あの先生には弟子がいない
/デシが/
  
あの先生は弟子が多い
/デシが/
  時が経つのは早い
/トキが/
 
 採録なし
  このキノコには毒がある
/ドクが/
 
 採録なし
  夫婦で年がちがう
/トシが/
 
 採録なし
  今日は波が高い
/ナミが/
 
 採録なし
  縄が切れる
/ナワが/
 
 採録なし
  みので糠がとぶ
/ヌカが/
 
 採録なし
 熨斗 熨斗がかかっている
/ノシが/
 
 採録なし
  犬に蚤がつく
/ノミが/
 
 採録なし
 海苔 香典返しには海苔が多い
/ノリが/
 
(歯に)海苔がついている
/ノリが/
  地震で墓が倒れる
/ハカが/
 
 採録なし
  公園に萩が咲いている
/ハギが/
 
 採録なし
 刷毛 ペンキを塗るには刷毛がいる
/ハケが/
 
 採録なし
  落として鉢が割れた
/ハチが/
 
 採録なし
  三味線は撥が高い
/バチが/
 
 採録なし
  花に霜がおりる
/ハナに/


野に花が咲いた
/ハナが/
 

花が咲いた
/ハナが/
 採録なし
  うちからは浜が近い
/ハマが/
 
ニシンで浜が栄えた
/ハマが/

浜で鯨があがった
/ハマで/
  たくさん食べてに腹がふくれた
/ハラが/
 
 採録なし
 晴れ 一週間は晴れが続くそうだ
/ハレが/
 
 採録なし
  茶碗に皹が入った
/ヒビが/
 
茶碗に皹が入っている
/ヒビが/
  このバナナは房が大きい
/フサが/
 
 採録なし
  歌に節がついた
/フシが/
 
 採録なし
  縁が欠けた
/フチが/
 
 採録なし
  さっき幕があがった
/マクが/
 
 採録なし
  日本酒を飲むので枡がほしい
/マスが/
  
 採録なし
  あの人、胯が破けてる
/マタが/
 
 採録なし
  昔はに毬が売っていた
/マリが/
 
 採録なし
  耳が痛い
/ミミが/

大声で耳が痛い
/ミミが/
 採録なし
  家の地下に室がある
/ムロが/
 
 採録なし
  今は物があふれている
/モノが/
 
 採録なし
  山が近い
/ヤマが/

あそこに山がある
/ヤマが/

うちからは山が遠い
/ヤマが/
また山で熊を見た
/ヤマで/
  闇がせまる夕暮れ時
/ヤミが/
 
 採録なし
  挟んで指が腫れる
/ユビが/
 
 採録なし
  あの人は弓が得意だ
/ユミが/
 
 採録なし
  あの人は夢が実現した
/ユメが/
 
 採録なし
  車を脇に寄せる
/ワキが/
 
 採録なし
  暑いと腋がむれる
/ワキが/
 
 採録なし
  この窓は枠が小さい
/ワクが/
 
 採録なし
 綿 この人形は綿が少ない
/ワタが/
 
 採録なし
  昔、麻生には麻が生えていた
/アサが/
 
 採録なし
  道に穴があいている
/アナが/
足袋に孔があく
/アナが/
  日焼けして皮がむける
/カワが/
 
 採録なし
  この川は貝がとれる
/カイが/
 採録なし
  昔、桑園には桑が植えてあった
/クワが/
 採録なし
  風が強くて雲がはやい
/クモが/
 採録なし
  昨日、鯛が釣れた
/タイが/
 採録なし
  あそこに塔がたっている
/トーが/
 採録なし
  玉が転がっていく
/タマが/
 
 採録なし
  秋には豆がとれる
/マメが/
 採録なし
  東京に姪がいる
/メイが/
 採録なし
  膿んだとこから膿が出る
/ウミが/
 採録なし
  また恋がしたい
/コイが/
 採録なし
  城の周りに堀がある
/ホリが/
 採録なし
  あの人は孫がたくさんいる
/マゴが/
あの人は孫に優しい
/マゴに/
  来月、店ができる
/ミセが/

店で小豆が売っていた
/ミセで/
 採録なし

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2拍語アクセント 第4類

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
  地面に跡がついている
/アトが/
採録なし
  粟が混ざったご飯を食べた
/アワが/
 採録なし
  冬になって息が白い
/イキが/
走って逃げて息が切れた
/イキが/
  板が割れていた
/イタが/
板に色を塗る
/イタに/
  週末ごとに市がでる
/イチが/
 採録なし
 何時 次はいつがいいですか?
/イツが/
 採録なし
  糸が切れた
/イトが/

糸がほつれる
/イトが/
鋏で糸を切る
/イトを/
  秋になって稲が実った
/イネが/
 採録なし
  うちには臼があった
/ウスが/
臼で餅を搗く
/ウスで/
  海がみたい
/ウミが/

うちからは海が遠い
/ウミが/
 採録なし
  昨日、瓜が手に入った
/ウリが/
今年は瓜を育てる
/ウリを/
  お地蔵さんに笠がかけてあった
/カサが/
採録なし 
  どうも数が合わない
/カズが/
 採録なし
  数年前から肩がこってつらい
/カタが/

肩がこる
/カタが/
先週あたりから肩がやむ
/カタが/
  その言い方は角が立つ
/カドが/
 採録なし
  雨ざらしで鎌が錆びた
/カマが/


鎌がある
/カマが/
 採録なし
  絹がほしい
/キヌが/


豆腐は絹がいい
/キヌが/

パジャマは絹がいい
/キヌが/
 採録なし
  杵が重い
/キネが/
 採録なし
  鼻から管が通っている
/クダが/
 採録なし
 今朝 この冬で今朝が一番寒かった
/ケサが/
 採録なし
  物置から鞘が出てきた
/サヤが/
 採録なし
  茎を折ると汁が出てきた
/シルが/
 採録なし
  話に筋が通っている
/スジが/
 採録なし
  この家は隅が明るい
/スミが/
 採録なし
  空が青い
/ソラが/
 採録なし
   採録なし 畑に種をまく
/タネを/
 
   採録なし まだ中に人がいるようだ
/ナカに/
  箸が足らない
/ハシが/
 採録なし
  針が錆びた
/ハリが/
 採録なし
  浜に舟があった
/フネが/


舟が沈む
/フネが/
舟に乗って川をくだる
/フネに/
 味噌 味噌が足らない
/ミソが/

名古屋は味噌が有名
/ミソが/
火を止めて味噌をとく
/ミソを/
 下駄  採録なし 下駄をはく
/ゲタを/
  父は釣が好きだった
/チチは/

父は髭が長い
/チチは/
 採録なし
  外は雨がひどい
/ソトは/
 採録なし

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2拍語アクセント 第5類

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
  秋が来た
/アキが/

秋になって稲が実った
/アキに/

秋になると鮭が川にあがる
/アキに/
 採録なし
  雨が降ると中止です
/アメが/

外は雨がひどい
/アメが/
 
ずっと雨が降っている
/アメが/
  鵜が鮎を丸のみにする
/アユを/
 
  採録なし  着物を蔭に干す
/カゲに/
 蜘蛛 蜘蛛がきらい
/クモが/

窓に蜘蛛が巣をつくった
/クモが/
 採録なし
  採録なし  遠くまで声が響く
/コエが/
  猿が逃げた
/サルが/
 採録なし
 足袋 足袋が汚れた
/タビが/
足袋に孔があく
/アナが/
  鍋から煙がでた
/ナベから/
鍋で小豆をにる
/ナベで/

鍋で湯をわかす
/ナベで/

鍋に油をしく
/ナベに/
  窓があいている
/マドが/

窓に蜘蛛が巣をつくった
/マドに/
しっかりと窓をしめる
/マドを/

窓に簾をかける
/マドに/
  眉が薄い
/マユが/
 採録なし
  採録なし  桶に水を入れる
/オケに/
  あの人は朝がはやい
/アサが/
 
あの人は朝がはやい
/アサが/
 牡蠣 広島は牡蠣が有名
/カキが/

牡蠣が食べたい
/カキが/
 採録なし
  秋になると鮭が川にあがる
/サケが/


鮭が食べたい
/サケが/
 採録なし
  採録なし 箱を縦にしておく
/タテに/
  蛇がきらい
/ヘビが/


庭に蛇が出た
/ヘビが/
藪で蛇をみた
/ヘビを/
 井戸 採録なし 井戸に落ちた
/イドに/

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3拍語のアクセント

以下では、金田一(1974)などで示されてきた3拍和語の語類(いわゆる金田一類別語彙)にしたがって、第1類から第7類(第3類はなし、その他に集約)の3拍語名詞のデータを示します。

参考文献
金田一春彦(1974)『国語アクセントの歴史研究 −原理と方法』塙書房.
金田一春彦(1975)『日本の方言:アクセントの変遷とその実相』教育出版.

3拍語アクセント 第1類

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
   採録なし 今年は鰯が安い
/イワシが/
 
 踊り  採録なし あの人は踊りがうまい
/オドリが/
 飾り  採録なし これは飾りに使う
/カザリに/
 河原 河原に石がある
/カワラに/
 採録なし
 着物 着物に土がついた
/キモノに/

着物の裾が汚れる
/キモノの/
着物を蔭に干す
/キモノを/
 
  家の前に車が止まっている
/クルマが/

車が走っている
/クルマが/
 採録なし
  鍋から煙がでた
/ケムリが/
焚き火で煙にむせる
/ケムリに/
   採録なし グラスに氷を入れる
/コーリを/
 
 今年 今年は鯵がよくとれた
/コトシは/

今年は
桃が高い

/コトシは/
今年は瓜を育てる
/コトシは/

今年は鰯が安い
/コトシは/
 
 子供 雪山から子供が飛び出す
/コドモが/

子供が学校に行った
/コドモが/

兎が子供を産んだ
/コドモを/
 採録なし
  魚には鰭がある
/サカナには/
魚が網にたくさんかかった
/サカナが/
  桜が見ごろだ
/サクラが/

静内は桜が有名だ

/サクラが/

静内に桜をみにいく
/サクラを/
 
静内は桜の有名だ
/サクラの/
   採録なし 柱に印をつける
/シルシを/
   採録なし 畳にコーヒーをこぼす
/タタミに/
 
   採録なし 苫小牧に大きな港がある
/ミナトが/

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3拍語アクセント 第2類

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
 小豆 小豆が安い
/アズキが/

店で小豆が売っていた
/アズキが/
鍋で小豆をにる
/ショーズを/
  東が明るい
/ヒガシが/
 
西と東で言葉がちがう
/ヒガシで/
 
 二つ このうち二つが当てはまる
/フタツが/

二つがちょうどいい
/フタツが/
 
 採録なし
 二人 娘が二人います
/フタリ/
 
 
あの二人は親子に見える
/フタリは/
  
 三つ   カステラを三つにわける
/ミッツに/
 
  娘が二人います
/ムスメが/
 
娘に子が生まれる
/ムスメに/
 
 六つ  採録なし 袋から芋を六つ取り出す
/ムッツ/
 
 四つ  採録なし 昨日、リンゴを四つ買った
/ヨッツ/
 

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3拍語アクセント 第4類

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
  頭が痛い
/アタマが/
今日から頭が痛い
/アタマが/
  男が来た
/オトコが/
 
 採録なし
  鏡が割れる
/カガミが/
 
自分の姿、鏡に映す
/カガミに/
 
  刀が折れる
/カタナが/
 
刀に傷がつく
/カタナに/
 言葉  採録なし 西と東で言葉がちがう
/コトバが/
   採録なし 暦に予定を書く
/コヨミに/
 
   採録なし 米を俵につめる
/タワラに/
 
 包み  採録なし 包みをほどく
/ツツミを/
 
   採録なし 鋏で糸を切る
/ハサミで/

鋏が錆びる
/ハサミが/
 
   採録なし 光にかざす
/ヒカリに/
 
   採録なし 袋から芋を六つ取り出す
/フクロから/
   採録なし 衾(ふすま)を閉める
/フスマを/
 
   採録なし 地面に蓆(むしろ)をひく
/ムシロを/
 

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3拍語アクセント 第5類

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
 朝日 朝日で峰が光る
/アサヒで/
 採録なし
  油が切れた
/アブラが/


あの店は油が安い
/アブラが/
 
鍋に油をしく
/アブラを/
  鮑(あわび)が食べたい
/アワビが/
 
 採録なし
 五つ  採録なし 餅を五つにわける
/イツツに/
 
 従兄弟  採録なし 従兄弟が病にたおれた
/イトコが/
 
   採録なし 小さな虫にも命がある
/イノチが/
 
 親子  採録なし あの二人は親子に見える
/オヤコに/
 
   採録なし あの言葉は心に響いた
/ココロに/
 
 姿  採録なし 自分の姿、鏡に映す
/スガタ/
 
   採録なし 窓に簾をかける
/スダレを/
  涙がかわく
/ナミダが/


テレビを見ていたら涙が出た
/ナミダが/
 採録なし
   採録なし 柱に印をつける
/ハシラの/
/ハシラに/
 
  この箒は柄が折れていてあぶないよ
/ホーキは/
箒がたおれる
/ホーキが/
  枕がちがうと眠れない
/マクラが/
 
枕がなくなった
/マクラが/
 

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3拍語アクセント 第6類

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
  兎が子供を産んだ
/ウサギが/
 採録なし
  狐が畑を荒らす
/キツネが/
 
あのあたりは狐が多い
/キツネが/
 
   採録なし 薬で虱を殺す
/シラミを/
   採録なし 雀が巣をつくる
/スズメが/
 
 背中 背中がかゆい
/セナカが/
 
 採録なし
 田圃  採録なし 田圃に水を引く
/タンボに/
 
  鼠が住みつく
/ネズミが/
 
猫が鼠をつかまえる
/ネズミを/
 
   採録なし 裸になる
/ハダカに/
 
   採録なし そこを左に曲がる
/ヒダリに/
 

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3拍語アクセント 第7類

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
  この苺が甘くておいしい
/イチゴが/
今日、苺をもらった
/イチゴを/
 
 辛子 おでんには辛子があう
/カラシが/
 

この人は辛子が苦手です
/カラシが/
 採録なし
  浜に鯨があがった
/クジラが/

鯨が店で売っている
/クジラが/
 

浜で鯨があがった
/クジラが/
 
   採録なし 病院に薬をもらいにいく
/クスリを/

薬で虱を殺す
/クスリで/
 
  卵が安い
/タマゴが/
 

ニワトリの卵が孵る
/タマゴが/
 採録なし
  畑で鍬がなくなった
/ハタケで/

畑で芋がたくさんとれた
/ハタケで/

畑に稗が生える
/ハタケに/

畑のキャベツが芽を出す
/ハタケの/
畑に畝をつくる
/ハタケに/

畑に種をまく
/ハタケに/
 
   採録なし 従兄弟が病にたおれた
/ヤマイに/
 

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3拍語アクセント その他

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
   採録なし 泉がわいている
/イズミが/
 
   採録なし 烏(カラス)に石を投げる
/カラスに/
 
 黄金 黄金に染まる
/コガネに/
 採録なし
 小麦 小麦が安い
/コムギが/
 
十勝で小麦を作っている
/コムギを/
 
  力がない
/チカラが/

疲れて力が出ない
/チカラが/
 採録なし
   採録なし 鰊で浜が栄えた
/ニシンで/
  室蘭は岬がきれい
/ミサキが/

岬が長く突き出ている
/ミサキが/
 
 採録なし
 駱駝 鳥取砂丘は駱駝(ラクダ)が有名だ
/ラクダが/

駱駝(ラクダ)が動物園にきた
/ラクダが/
 
 採録なし

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4拍語アクセント

   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
 鈴蘭 スズランの絵をかいた
/スズランの/
庭にスズランが咲く
/スズランが/
 


地名のアクセント

北海道方言の地名アクセントの断片的なデータです。ここで示すアクセントがすべてではありません。あくまでこういうアクセントもあるという記録です。また Praatなどをつかってピッチの高低を計ったわけではないので(聴覚印象)、もしかするとアクセントの記述に誤りがあるかもしれません。ご容赦ください。

3拍の地名アクセント

3拍の地名のアクセントは、おおむね2つのグループにかわれます。ひとつは中高型でも頭高型でもよい3拍地名のグループ、もうひとつは平板型のみの3拍地名グループです(もちろん例外はあります)。

中高型でも頭高型でもよい3拍地名グループの特徴

このグループは基本的に中高型でも頭高型でもよいのですが、平板型のアクセントは聞かれません。たとえば、 「富良野(ふらの)」のアクセントは、中高型の/フラノ/でも頭高型の/フラノ/でもよいのですが、平板型の/フラノ/は聞かれません。以下でデータを示している「琴似(ことに)」や「留萌(るもい)」も同様で、頭高型は許容されますが平板型は聞かれません。

観察のうえでは年齢層が上がるほど中高型が、年齢層が下がるほど頭高型が優勢のような印象を受けます。道内メディア(報道や天気予報など)では頭高で発音されることが多いようです。

平板型のみの3拍地名グループの特徴

このグループは基本的に平板型のアクセントのみで、頭高型や中高型は聞かれません(とくに当該地名の地元において顕著)。たとえば、 「余市(よいち)」のアクセントは、常に平板型の/ヨイチ/となり、中高型の/ヨイチ/や頭高型の/ヨイチ/は聞かれません。「乙部(おとべ)」や「羽幌(はぼろ)」などもこのグループのようです(記録あり)。

このグループの地名にあまり馴染みがない北海道方言話者は、類推的に中高型や頭高型で発音することがありますが、当該地名の地元民は平板型を貫くことが多い印象を受けます。

 3拍地名・中高型の例(頭高型にもなるが、基本的に平板型にはならない)
   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
 小樽
/オタル/
小樽は寿司がうまい
/オタルは/
 採録なし
 琴似(札幌)
/コトニ/
琴似にお寺がある
/コトニに/
 採録なし
  十勝
/トカチ/
 採録なし 十勝で小麦を作っている
/トカチで/
美瑛
/トカチ/
 
美瑛は丘がきれいだった
/ビエーは/
 採録なし
  留萌
/ルモイ/
昔、留萌に住んでいた
/ルモイに/
 採録なし


 3拍地名・平板型の例(中高型や頭高型には基本的にならない)
   TYさん(札幌/F) KTさん(栗沢/M) 
 麻生(札幌)
/アサブ~アザブ/
麻生には麻が生えていた
/アザブには/
 採録なし

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4拍の地名アクセント

北海道方言の4拍地名の特徴として頭高型の存在があげられる。

 4拍地名・頭高型の例

   TYさん(札幌/F)  KTさん(栗沢/M)
  厚別(札幌)
/アツベツ/
用事で厚別に行く
/アツベツに/
 
 静内
/シズナイ/
静内に桜をみにいく
/シズナイに/

静内は桜が有名だ
/シズナイは/
 


 4拍地名・平板型の例
   TYさん(札幌/F)   KTさん(栗沢/M)
  桑園(札幌)
/ソーエン/
昔、桑園には桑が生えていた
/ソーエンには/
 

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5拍の地名アクセント

coming soon
   TYさん(札幌/F)  KTさん(栗沢/M)
  月寒(札幌)
/ツキサップ/
明日、月寒へ行く
/ツキサップに/~/ツキサップ/

「月寒」の読み方について
 
 苫小牧
/トマコマイ/
 苫小牧に大きな港がある
/トマコマイに/